人研ぎ石補修 重要文化財

 

これは人研ぎ石といって

天然の石ではなく骨材と

繋ぎを左官が押さえるタイプの

左官仕上げの建材となります

戦後間もない建物ですので

こうなるのも致し方なく

右から左まで1直線に入ったヒビを

直しています

 

線が消えましたがうっすら

痕跡が残っています

UVレジンの質感が艶を落としても

同じにはならないので仕方ありませんが

もう少し塗ると消えます

そうすると今度は塗料の質感が

強く出ますので

バランスを取ります

 

ここは床が動いたんだと思います

先人が補修しています

重要文化財は表面に出るものが

本物でなければなりません

ですがこうなってしまいます

古いまま整えたいという希望で

私たちは作業しました

 

補修した場所のレベルが高くなっていたので

なだらかなスロープを作り

テクスチャ(デコボコ)を作りました

これができるからレジンをチョイスしました

取れちゃうんじゃないのと思われるかも

しれませんが 密着力は強靭です

 

そこで終わってしまうと

粒が円いので

メタルプレーナーでヘッドカットします

よりリアルになる為の大切な工程です

粒 取れてないことに

驚いてほしいです

 

色は微妙に変えながら

ガンで付けます

空気が出ている音が

聞こえるか聞こえないか微妙な

セッティングでドロップで吹きます

飛散しないので匂いません

乾くのに時間かかります

 

右がオリジナル

左が私の偽物です

同じでは決してないわけですが

二アリーイコールを目指します

最終的には景色にはまり込む

イメージで作業します

 

今度は色の濃い四角の

色付けです

確実に存在する色を

多色用意します

このペンキはハイアートではありません

ハイアートだったらやらなかったと思います

人に歩かれて耐える塗料は

そんなにたくさん出回っていません

 

三角に補修してあり

段差もありましたが

良く収まりました

はみ出ている色がヒントに

なると思います

粒の輪郭が出る様

その都度ドライヤーで表面を

乾かしています

 

ここだけで2日掛かっています

だめならやり直す覚悟で

慎重にやりました

今回はコロナでお休みしている方が

多いのでいつもより分かり易く

掲載しました

 

 

わたしは景色として

違和感なくはまり込む補修が

最も優れていると思います

その為には

平滑かどうか

テクスチャが揃っているかどうか

色があっているかどうか

艶があっているかどうか

ボカシが適切かどうか

なにより何年たっても変質しないか

いつも気にしています